シリーズこの地方の言葉⑱

〜「お邪魔します」は「上がらしてや〜」〜


丹波篠山のおいちゃんやおばちゃんに子どもの頃、友人宅や親戚の家へ遊びに行った時、どのような挨拶をしていたかを聞くと多くが「せやった」「せやった」と懐かしく思い出すこの
「上がらてや〜」(決して「上がらてや」ではない)


当時の丹波篠山だけではなく農村部の日本家屋は一階は土間、そして一段上がったところに居間や客間がありました。幼い子どもにとっては「高床式倉庫」にも匹敵する高さだったのでは。
つまりその一段上に「上がってもいいでしょうか」が「お邪魔します」の挨拶になっていました。


大体遊びにく友人宅とは当時では珍しく専用の「子供部屋」があった家で、玄関入って「◯○ちゃん、おってけ〜」と言うと土間の奥の方から
「奥におらへんけ」と声がします。
それを聞いたら「上がらしてや〜」と大きな声で挨拶をし靴を脱ぎ捨てて目的の部屋まで行くわけです。


家屋の形態が変わって「上がる」ほどの高さでもないのですが、今なお「ちょっと上がっていきぃな」とか「ちょっと上がらしてもらうで」という大人の会話も残っています。